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「失礼します」
テーブルに飲み物が運ばれてきた。
しなやかな手つきで、店員さんが丁寧に置いていく。
その様子を見ていた若宮くんがスっと店員さんの顔を覗き込む。
「ありがとう。美味しそうだね」
突然そんな事をキラースマイルで言ったもんだから、店員さんも私もドキマギした。
なんだろう。この人の言動。
さっきからまったくつかめない。
だけど、私の恋する心臓はドキドキしっぱなしだ。
若宮くんは細く長い指を珈琲カップに絡ませて、お上品に口に運ぶとコクンと一口飲んだ。
「さ、それじゃ本題にうつるね、爽子」
目の前に置かれた俺ンダーと呼ぶカレンダーを若宮くんは1枚めくった。
「これ、1日目ね。そうだな、爽子は明日の朝めくる事になるかな。それで、ここの所見える?」
「え?」
「ほら、ここ。お題が書いてあるでしょ?」
そこには【手をつなぐ】と書かれていた。
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