や ら か し た !

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 酒によってとんでもないことをやらかす人は、多い。  酔っぱらってうっかり寝過ごしたら山手線を一周してたとか。うっかり反対の路線に乗ってしまって終点でそれに気がついたとか。そもそも電車に乗るつもりだったのが気がついたら駅のホームのベンチ――どころかベンチの下に滑り込んで寝てたとか、そもそも自分がどうやってそんなとこに入ったのかも覚えてないとか。  そう、お酒は少し嗜むだけなら害はないが、飲みすぎるととんでもない害を及ぼす代物なのである。会社の後輩諸君よ、君達がアホをやらかさないためにあえて私は恥を忍んで自分の失敗談を語ろうと思う。  君たちも知っての通り、ウチの会社は飲み会というものが多い。女が多い職場だから捕まることはないと安心してた新人もいるだろうが非常に甘い。むしろ私のような年季入ったオバンはお酒が大好きだったりするのだ。ジジイどものセクハラを堪え忍び――いやはや今はかなりいい時代になったとも、セクハラって概念そのものが昔はなかったのだから――お局様の面倒くさい絡みをかわしつつ。それでもお酒を飲めば陽気になれるしストレスも発散できるというもの。  うん、特に今のご時世は煙草を吸える場所が極端に減ってしまっただけあって、よりお酒の方に走る者が増えているのではないかと私は思うのだ。うちの飲み会の回数も明らかに禁煙が進んでから余計に増えているし――まあ、それはいい。  私も酒癖がいいとはいえないが、酒が好きなのに酒癖の悪い先輩のまあ多いこと多いこと。  それは私が会社に入って三年目の冬のこと。その日も気がつけば死屍累々の有り様だったとも。全然顔も赤くないのに新人の女の子は突如泣き出してごめんなさいを繰り返すし、席に座って足を伸ばそうとしたら、テーブルの下で課長が大イビキかいて寝転がってるし。  そういえば酒食らって脱ぎ出した奴が数人いたんだが、あれは公然ワイセツにはならんのだろうか。腹の出たオッサンのアレも、ぶよぶよのオバサンのアレもものすごく見たくないものだったんだけども。
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