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銀の駒
ある夜、友人たちとソウル市街にあるレストランで夕食を取ったパクは、年下の友人チャンと、ひとけのない道を家路についた。チャンと別れ、一人で家に入ってから、不審な雰囲気を感じ、用心のため拳銃を出した。その時、本の間に手紙を発見した。手紙にはこう書かれていた?「この手紙を開封した時から、何もしてはいけない。さもなくば、命はない」。
その後、隣の広間から大きな物音が聞こえてきた。しかし盗まれたものは何もなく、将棋の銀の駒が1枚落ちていた。
パクがこれを雑誌に書いたところ、友人の間で大反響となり、チャンも家にやってきて、広間を見たがった。
その広間の壁には、織田信長など様々な肖像画があった。
その後、雑誌を読んだという人物がピストル自殺を図った。
遺体のそばにはまたも、銀の駒があった。男が握っていた名刺から、服部って男が警察の尋問を受けたが、心当たりはないと言う。
男は仁科というヤクザ者であった。仁科は怪盗城戸の仲間だった。
また、新聞に日本で、潜水艦『銀』が、瀧川類という技師の設計図をもとに作られたが、肝心な資料がなかったため失敗に終わったこと、設計図を日本に売り渡したのが仁科兄弟であることが、中村という署名入りで書かれていた。これに関して服部は無言を貫いた。
そんなある夜、パクの家に服部の妻が訪れ、瀧川に宛てたラブレターのために、仁科兄弟に脅迫されていることを告げた。
服部が無言を貫いたのはこのせいで、その上ひそかに兄弟を監視させていた。パクと一緒にいたチャンは、夫人に、恋文の秘密を知っていると思しき中村に、夫が、設計図の資料を保管していることを教えるように説得する。その後、中村から夫人に宛てた手紙がパクのもとに来た。「隠し場所にはなかったが、必ず取り返す」とあり、中村がこの事件のカギを握っているのは間違いなかった。
チャンもラブレター探しに熱心で、パクと共に庭を掘り返したところ、白骨死体と、銀の駒が発見された。寒い日のことで、パクはふらつきながら、そのまま2日間寝込んでしまった。
3日目の朝、ようやく起きだしたパクに、中村から速達が来た。その日の夜に、3人の人物を対決させて、この事件を解決するらしい。
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