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指名手配犯・氷室翔太
海岸沿い、小動の古い屋敷に住む服部三章が石川美歌医師とゴルフをしている最中、断崖の先端の地面の割れ目に男が落ちているのを発見する。2人は崖下に降りていくが、男は既に虫の息であった。
美歌医師が応援を求めに大門病院に向い、服部が1人になって数分後に男の意識が突然戻り「なぜ、氷室に頼まなかったのか?」と言い残して死んでしまう。 服部が男のポケットに入っていた美しい女性の写真を見た後、唐沢一之と名乗る男が現れ、4時に屋敷に戻らなければならない服部はこの男に後を任せて帰宅する。
翌日、友人に会いに東京へ行った服部は、帰りの汽車の中で幼なじみで向坂財閥のお嬢様の向坂久美子と再会する。
久美子が指し示す新聞記事で服部は、死んだ男が持っていた写真は鳶沢優子夫人で、死んだ男は優子の兄の榎本陽介であることが判明したことを知る。
翌日、検死審問で優子夫人を見た服部は、写真のチャーミングな美人から変わり果てた中年婦人の姿に失望する。事故死の評決が下された後、夫とともに訪ねてきた優子夫人から何か兄の遺言がなかったかと尋ねられた服部は、その場では特に何もなかったと答えるが、後日、「なぜ氷室に頼まなかったのか?」と言っていたことを思い出し、夫人に手紙で知らせる。
その後、服部は東武警察署から50万の仕事の話が舞い込むが、友人とバーを開業する準備を進めていたために、東武署には行かなかった。
さらに服部は数日後、ビアガーデンに行って昼食で飲んだビールに致死量のモルヒネが入っていたため命を落としそうになる。
奇跡的に一命を取り留めた服部を見舞いに来た金子に服部は、『文鯨週報』に掲載されていた死んだ男のポケットに入っていた優子夫人の写真が、服部が見た写真とは別のものであることを示し、2人は写真がすり替えられたもので、すり替えたのが唐沢であり、鳶沢夫妻も事件に関係していることを知る。
さらに2人は、死んだ男は実は榎本ではなく身元不明のXで、唐沢がXを崖から突き落として殺し、Xの身元を知られたくなかったため写真をすり替えたのだと推理する。そして、「なぜ氷室に頼まなかったのか?」は犯人たちにとって何か重要な言葉ではないかと。
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