鷲は舞い降りた!!

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鷲は舞い降りた!!

『聴け!万国に巣くう孤独感に(さいな)まれし同志たちよ!!』 「「おおっ!!」」 特産品がワカメだけの地方都市に存在する、県立中学の運動場の一部をかねた広やかな屋上において、ちょっとアレな男子三人だけの【バレンタイン決起集会演説】が今、始まった。 『聴け!われら同志諸君!われわれ日本人の半分を占める男達が【決戦の日】と定めし運命の月日(げつじつ)。すなわち2月14日のヴァレンタインデーイ♪が今年もやって来たのだ!!』 「「やって来たのだ!!」」 演者でリーダー役の男子は、黒縁メガネのレンズ輝く細身の将来有望(自称)な若人(わこうど)であり、その彼が、屋上の一段高い位置に設置してある今時珍しい給水塔の金網を左手で鷲掴みにし、力強く右手の拳を天にも届けとばかり突き上げている。 ちなみに直下のコンクリ屋上の上で囃し立てる同級生の二人も、彼と似たり寄ったりの背格好で黒縁メガネのひょろっこい男子どもだ。     
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