鷲は舞い降りた!!

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『我々が揃いも揃って生まれ落ちてからこれまで、【ヴァレンタインデーイ♪】なる〝チヨコレイトの祝祭〟から、これ見よがしに排除され虐げられ踏みつけられても負けずに歯を食いしばり、毎年毎年、周囲のクラスメイトたちがカップル化するのを横目に見ながら一切妥協せず、人としての底辺同然の扱いを受けても耐えに耐え忍んで生きてきたのは、一体なんのためだ!!』 「チヨコを勝ち取りたいが為である!!」 「人目も(はばか)らず、チュッチュしているアホどもを見返してやるためだ!!」 『違う!諸君!それは断じて違う!!』  将来有望なメガネ若人が、ツバキを盛大に下に飛ばし【左手】で大きく振りかぶって、力強く同志諸氏の意見を否定する。  「ちょ!きたね!!」 「ツバ飛ばすな!ツバ!!」 ふたりの同志諸君の猛然たる抗議もなんのその、リーダーメガネは両手の拳を空に向かってグイっと突き出し演説に熱を込める。 『聴け諸君!!』 「おまえこそ人の話聞けよ?!」 「勝手気ままな独裁者か!!」 『独裁?!そう独裁だ!独裁主義なのだ!!ヴァレンタイン・チヨコレイトこそ独裁政治の象徴なのである!!』 「あれだろ、バレンタインにチョコ食べる様に仕向けたのはお菓子会社の陰謀とかいうアレだろ?」 「ああそれ、オレも聞いたことあるわ」 『それを資本家どもの独裁と云うのだ!!』 「「言わないぞ??」」     
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