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キョトンとする同志二人を尻目にメガネ男子(たぶんリーダー)は、青春の脂みなぎる額に汗をにじませて給水塔のてっぺんに繋がる鉄梯子に左足をかけ、右手でしっかり鉄の棒を握り、ツバキをいっぱい飛ばして演説の勢いに拍車をかける。
「だから汚ねーって!」
「自重しろよおまえはよ!口ふけよ!口をよ!」
『シャラップ!だまらっしゃーーい!!』
うへっ!と、同志諸君は一歩、二歩、それぞれの心境に応じて後ずさりする。
これを見て取ったメガネ男子(勢いを得たリーダー格)は、彼らの態度に満足げにニヤリとほくそ笑んだ。
『諸君、親愛なる同志諸君!考えてもみよ!我々にとってチ・ヨ・コ・レ・イ・トなぞ、この世のどこにでも存在するありふれた嗜好品の一つでしかない!謂わば、ただの甘味品の一種にすぎないのである!!そう!大はデパートから大手スーパー!小は街角のコンビニから商店街の雑貨屋に至るまで、質さえ問わなければどこにでも格安で手に入る人類が生み出した汎用品・大量生産物のひとつにしか過ぎないのだ!!我々は、その重要点にこそ留意せねばならないのである!!』
「まあ確かに。十円チョコもあるくらいだし、安いっちゃ安いわな 」
「でも、くっそ高いのはスッゲ旨いけどな」
二人は笑顔で肩を叩きあって意気投合する。
「で、チヨコレイトがなんだって?」
「そうだ!なんだなのだ!」
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