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二月十四日。
世の男共が、一年で一番ソワソワしていると言っても過言ではないこの日。
正直、そんな浮かれたイベントに然程興味はなかったが、体育館裏というベタな場所に呼び出されると何かしらを期待するのは自然なことだと思う。
「津田くん、これあげる」
特に恥ずかしがる様子もなく、むしろケロリとした顔で綺麗にラッピングされた箱を俺に差し出したのは、同じクラスの三宮 六花。
可愛らしい名前の女子生徒は、この高校で一番の美少女であり、俺の彼女でもある。
いや、正しくは…“彼女役”をしているただのクラスメイトだ。
なんせ、俺達の関係はフェイクなのだから。
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