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「は?何だよこれ」
「家のお庭で拾ったの。素敵な鉛色でしょ?」
素敵かどうかは別として、たしかに鉛色だ。
鉛色した…石。ただの石ころ。
「知るかっ!そこらに転がってる石なんて大体こんな色してるだろ」
「厳選して選んだから一時間もかかったわ。ラッピングも含めると二時間ってところかしら」
「そんなことに時間かけるならチョコ作れや」
そうだ…すっかり忘れてた。こいつはこういう女だってこと。
普段は馬鹿な男達に夢を与えてやろうと可愛い女を演じてるけど、本性はクソみたいに捻じ曲がってる。
そんな性格ゆえに、しつこく告白されたりするとプッツンってキレそうになって化けの皮が剥がれそうになるから男よけとして都合のいい“彼氏役”を探していたらしい。
俺も同種、ではあるけどな。
わりと恵まれた容姿に生まれてきたせいで、昔から常に馬鹿女達が寄ってきてウザイの何のって。
極力優しくしてやってるけど、ブリブリしてる女を見てるとイライラして、いつもブチギレ寸前。
そんなわけで、俺もずっと女よけとして都合のいい“彼女役”を探していた。
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