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そんな俺に、一部始終を見ていたらしい三宮が声を掛けてきて言ったんだ。
『津田くん、お願いがあるんだけど。きっと、あなたにとって素敵なお話よ』
お互いを都合よく利用するフェイクな関係を築きましょう、と付け加えた三宮は、男を夢中にさせるとびきり可愛い笑顔で、小首を傾げていた。
この学校一の美少女が、実はクソ性悪だなんて知りもせず頷いてしまったのが運の尽き。
バレンタインに石を渡すなんて、たとえフェイクだとしてもどんな彼女だよ。どう考えてもただの嫌がらせだろ。
「これでみんなにチョコのこと聞かれても安心ね」
「いや、どこがだよ」
「あーあ…イベントってめんどくさーい」
「お前は石拾っただけだろーが」
毎日のように繰り広げられる言い合いも、周りの奴らが勝手にラブラブの証だと捉えてくれるおかげで俺達はすっかり美男美女カップルの有名人だ。
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