フェイク×トラップ

「津田…いや、津田様」

「なんだよ」

「それ、見せてくれ。触らせてくれ。ダメならせめて匂いを嗅がせて欲しい」

「は？却下」

一蹴すると井上はショックでその場に膝から崩れ落ちた。

…大袈裟な奴。

見せたらバレる、触らせてもバレる。

無臭だから嗅ぐのは別にいいけど普通に気持ち悪い。

全く、これだから女にモテないって何で分かんねぇかな。

男は男らしくドンと構えてりゃいいのにギャーギャー騒ぐんじゃねぇよ。

「ところで、津田氏と六花ぴょんって全然デートとかしないよなぁ」

「たしかに。してたら目撃情報あるはずなのにその手の噂は聞いたことがありませんねぇ」

大盛り上がりの教室内で突然飛び出したこの発言には、不覚にもドキッとした。

痛いところをついてくるのは誰かと思えば佐藤と鈴木か…

全国名字ランキングでは毎年トップを誇る名の二人だが、実際は美少女アニメ好きの冴えないオタクだ。六花ぴょんって…次元が違いすぎて眩暈がするわ。