それぞれの道

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夏休みも半ばに差し掛かり、俺達も練習を辞めて盆休みに事件は起こった。 勇平が入院したらしい。 浅井咲から連絡があった。 なんで咲からって思ったが、そんなことより勇平がと思い、竜と共にすぐに病院に走った。 しーんと静まり返ったロビーを通り過ぎると咲が待っていた。 「勇平は?」 そう聞くと咲は病室まで連れてってくれた。 白いドア、ヒグラシが悲しく鳴いているのをこだまする長い廊下を通り過ぎ、札に『有坂勇平』と書かれた病室にたどり着いた。 俺と竜は勢いよくドアを開けた 「勇平、だいじょ…」 そう言いかけた時、俺等は勇平の姿を見てハッと息を呑んだ。 やせこけた頬、真っ青な顔。これがあの勇平なのか? と思うほど変わり果てた姿だった。 勇平の親父さんは俺達を見つけるとすぐに廊下に連れ出した。 「来てくれてありがとう。でも、もう勇平は野球ができないから諦めて欲しい。」 と言われた。とてもじゃないけど納得できなかった。 「何でですか。」 そう、怒鳴ったのは、僕でもなく、竜でもなかった。横で聞いていた咲だった。
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