それぞれの道

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「何で彼が野球をできなくなるんですか。」 咲は泣きながら聞いた。 俺達も聞きたかった。 「それは、言えない。だから、今日は黙って帰ってくれっ。」 あんな親父さんを見るのは初めてだった。 でも、納得出来ない俺達は 「だったら医者に聞いてみます。」 と言った。親父さんは、少し困った顔をしたが、決心が着いたのか話始めた。 「勇平な、いつも君達の事ばかり話すんだよ。楽しそうに。咲ちゃんとも昔からの縁だった。だからこそ、言いたくなかった。でも、その覚悟が君達には出来ていると思う。だから、もう、隠す必要はない。」 「隠す?」 「あぁ、勇平の病気のことだ。」 「病気?」 僕等は初めて知った。勇平が病院に通ってたことを。 毎日、毎日、一緒に野球の練習をしたり、時には野球を見に行ったりした仲間が病気になっていたのに気付かなかった。 例え気付いてたとしても、多分何も出来ないと勇平は知っていたからあえて言わなかった。 咲が恐る恐る聞いた。 「病名は?」 親父さんは少し間を開けて言った。 「白血病だ。」
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