それぞれの道

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次の日、やはりグラウンドには竜の姿はなかった。 さすがに一人では練習ができないので僕は、今日は勇平の所に行った。 「勇平、大丈夫か?」 僕は勇平に聞いた。 「あぁ、大丈夫だよ。ところで病気の事親父から聞いたんだってな。」 「ぅん、ごめんな。」 「ぅん?何が。」 「気付いてやれなくて。」 「いゃ、こっちこそ、言わなかった、いや、言えなかった。」 「何で?」 「お前と竜を見てると、もう少しこのままでいたいって思ってさ。」 「ハハっ」 「ところで竜は?」 「あぁ、今、一人で練習してるよ。」 「ふぅん、あまりオーバーワークしすぎるなよ。でも、お前は?」 「あぁ、俺は今から学校で練習するよ。キャッチボールの相手がいないし、ノックもできないからね。」 「ふぅん、悪いな。」 「ぅん、気にするなよ。じゃ、俺、行くから。」 言えなかった。竜が野球を辞めたなんて。 言ったら勇平は絶対竜の所に行くから。 こうなったら、俺は一人でも甲子園に行く。勇平と竜のためにも。
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