それぞれの道

14/17
前へ
/170ページ
次へ
僕は、一人で野球推薦に望んだ。 そこそこ強い高校だったが、勇平が言うにはここだったら甲子園に狙える位置にいるらしい。 一応、竜も誘ってみたが、やはり来なかった。 まずは、50㍍走。ここで大半落とされるらしい。基準タイムは6,0秒。 僕は最近計ってないから少し不安だった。 『ヨーイスタート』 合図と共にスタートした。 6秒切れるかなとばかり考えていた。 「ハイッ」 と合図が聞こえた。 「えっと、中山君が5,2秒。」 一瞬、会場がざわめいた。 僕自身もびっくりした。 まさか、この二年でこんなにも縮まるとは思ってもみなかった。 次の種目は、遠投。 これの基準も楽に超えた。 これも全て勇平達のおかげだ。 そう思っていたらいきなり、顧問の先生から 「これからの種目は君は受けなくていい」 と言われた。 「何でですか?」 僕は聞いた。 僕はここで落ちる訳にはいかないんだ。勇平のためにも。すると、 「君はもう、合格だよ」 確かにそう聞こえた。
/170ページ

最初のコメントを投稿しよう!

729人が本棚に入れています
本棚に追加