越えられない壁

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「おーい、咲。」 「あっ。雅雄君。おはよう。竜君は?」 「寝坊だってよ。連絡あった。」 この春、僕は野球推薦で、咲は勉強推薦で、竜は試験で私立明崩学院に揃って入学した。 勇平は相変わらず、病院のベッドの上だが、咲が毎日学校の事を話しているそうだ。 本当だったら、勇平も一緒にくぐっていたかもしれないこの桜並木の門。 そして、三人でやっていた野球。 もう、それは叶わない。 でも、僕自身一人でもせめて甲子園に行ってやろうと思いながら野球をしている。 竜は、相変わらず野球をしない。 だから、僕からももう誘うことをしない。 「おっ。彼女連れか、中山。」 「キャプテン、違いますよ。友達ですよ。」 僕は、入学前から野球部の練習に参加している。 その中でも、僕と同じポジションでキャプテンの佐藤先輩は素晴らしい人だ。 野球も上手く、みんなをまとめる力がある人だ。 なんとなく勇平に似ているとこもある。 ふと気づき 「咲はやっぱ、バレー部にすんの?」 と僕が聞くと 「フフっ。内緒。」 と言われた。
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