越えられない壁

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まぁ、なにわともあれ僕はこうして高校球児になれた。 練習は確かに厳しいけど、でも勇平を思えばって考えたらなんとも思わなくなってきた。 ひたすら、真面目に取り組んできた四月の半ば。僕は監督に呼ばれ、監督室にきた。 「失礼します。」 「おぅ、中山か。こっちにこい。」 「はいっ。それで話ってなんですか?」 「ぅん、お前コンバートしてみないか?」 「コンバート?」 「ああ、今のポジションには佐藤がいる。そしたら、お前の今の力じゃあ佐藤からポジションを奪えない。」 「はい。」 「でも、お前の肩の強さと打撃の良さはウチのクリーンナップを遥かにしのいでる。」 「それで、どこのポジションに?」 「キャッチャーか、ライトだが、どっちがいいかはお前に決めてもらう。」 「キャッチャーかライトですか。」 僕は少し考えた。 ライトなら、今まで練習をしてきたこともあった。試合にも出たこともあった。多少なりに自信もある。 でもキャッチャーは今まで勇平がやってきたポジションだったから考えた事もなかった。僕は 「少し時間を下さい。」 と、言って部屋を後にした。
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