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重い空気のなか、勇平が言った。
「帰ってくれ」
僕は言われるがままにカバンをもち病室から出て行った。
この場から一刻も早く逃げ出したかったから。
暗いイチョウ並木を僕は必死になりながら歩いていた。
僕は、なんてことをしたんだ。
中途半端な気持ちで野球をやりすぎていた。
確かに、自分のポジションを他人に奪われたくはない。
でも、佐藤先輩からなんてとてもじゃないけど奪う事なんてできやしない。
でも、勇平がそれだけで怒るとは考えづらい。
よくわからなかった。
僕は、竜のみではなく、勇平と言う大切な友達をもいなくなる寸前だった。
「竜君?」
後ろから声が聞こえて、僕は我に返った。
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