越えられない壁

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「竜君?忘れ物?」 この声は聞き覚えがあった。 「咲?」 僕はびっくりした。 「なぁんだ、雅雄君か。びっくりしたよ。何でここにいるの?」 それはこっちのセリフだと言いたかったが、今は誰とも話したくなかった。 「ふぅん。だんまりか。」 咲は少し悲しげな声で言った。 すると突然、咲が僕の手を引っ張ってこう言った。 「ちょっとこっち来て。」 僕は引っ張られながら少し、この時間が止まればと思っていた。 が、その時間もすぐに終わった 土手を降り、見えた光景は いつも通っていたあのグラウンドだった。
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