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僕は無意識の内にここに来ていたのだ。
「勇平ね、絶対三人でまた野球をやるんだって毎日言ってるの。」
「勇平が?」
「ぅん。私もじゃあ、早くよくならないとねとか言うんだけどでも、凄く悲しい顔をするの。」
「何で?」
「わからない。でも、勇平はわかっているんだと思うよ。もう、三人で野球が出来ない事を。」
そう言うと、咲は少し涙ぐんでいた。
僕は、咲が毎日勇平の所に行っていてそんな話しをしていた事に驚いたが、僕はふと思い出した。
「だから、勇平怒鳴ったのか。」
僕は愚かだった。野球が出来ない勇平を後目に僕は野球を諦めかけていたからだ。
「咲、ありがとう。」
僕は言った。
「明日、勇平に会ったら言っておいて。俺、佐藤先輩からポジション奪うまでお前に顔を出さないって。」
「ぅん?話しがわからないけど伝えておくよ。」
「ぅん、後、ごめんって」
僕はそう言うとグラウンドを後にした。
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