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序
空白の剣に押し潰されそうになるのを、俺はあとどれだけ耐えればいいのか?
そうだ。
新しい時代とやらに、俺の誇りは掻き消された。
新しい時代とやらに、俺の未来は打ち砕かれた。
新しい時代とやらに……、
なのに……、
途絶えたはずの理由を、未練がましく抱えているのは何故だ?
「……全ては魔法が悪いのだ……」
ふと、闇の中から声がする。
幻聴とは知っていた。
だが、それはあの男の声の形をしながら、俺の心に染み入ってくる。
「……元凶たるはブラン王……」
闇に相応しいゾッとする声。
けれど、
「……オマエにブラン王を殺してもらいたい……」
心が震えているのは、恐怖ではなかった。
それは、きっと……。
握りしめた魔法石は、ただただ、殺意の感触がした。
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