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やがて礼装姿は城壁の上で、敵軍に向けての横一列を作り上げた。
「……魔法隊? ……なんのつもりだ、こりゃ?」
「これから魔法を使う。オマエ等剣士は横にどいて見ているだけでいい」
そう言ったのは装飾のほどこされた、他よりも豪奢な礼装の男だ。
魔法隊の隊長で、セイメイという。
「魔法ごときに何ができるってんだ? 幻で目くらましかよ? オマエ等こそどいていろ」
ガウィンが言うのに、セイメイはクスクスと笑っていた。
それからセイメイは懐に手を入れて、何かを取り出す。
「魔法石か?」
そう言ったのはクロムだった。
ガウィンはそれを初めて見る。
魔法石とは、魔力の結晶体であり、膨大な魔力を秘めているという輝く石だ。輝きの色は籠った魔力の種類によって様々なのだが、透き通って輝くその色は、宝石のように美しい。
ただ、それは美しいだけ。
魔法石は魔力の蓄えでしかなく、魔力がついえた際に使う魔力補給装置にすぎないのだと、ガウィンは聞いていた。
「そんなモンで何をしようってんだ?」
「それは見てのお楽しみだよ」
セイメイは不敵に零すと、それから右手を高く上げて、隊士達に合図を送る。
それに合わせて隊士達は一斉に魔法石を取り出し、そして、それを敵軍めがけて放り投げるのだった。
「何をしてやがる?」
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