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「だから、黙って見ていると言っている」
セイメイが再び合図を出す。
魔法隊の右手が開かれた形になり、さきほど魔宝石を投げた方へと突き出される。
そして、敵の軍勢が、ちょうど魔宝石の落ちているであろうあたりと重なった時だ。
「やれッ」
セイメイが言った。
すると魔法師たちの手が、黒い輝きを放ち始める。
そして、
激しい閃光と、
そしてすさまじい爆音が、まるで空を叩き割るかのように響き渡った。
咄嗟に耳と目を覆って、その場に伏せていたガウィンは、光と音が収まったのを確認すると、ゆっくりと顔を開いて戦場を見た。
信じられない光景がひろがっていた。
まるで悪魔の爪が大地を削り取ったかのように、大きく、長く地面が抉れている。
敵軍は壊滅的で、そこらじゅうに敵国兵士の死骸が飛び散っているのである。
「魔法石が、爆発したのか?」
そうこぼすクロムも、その力にあっけにとられて、なかば放心状態である。
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