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結
クロムの一件があって数日後のこと。
ガウィンは久方ぶりに王都を訪れていた。
理由はない。
新時代と向き合って、クロムの感傷に浸りたかったのかもしれない。
そうして街をブラブラとしていると、ふと、子供達が戦遊びをやっているのが目に入ってきた。
よくよく見れば、やはり魔法師役が人気のようだ。
俺が子供の頃は、こぞって剣士役を争ったものだが……。
そんなことを思って眺めていると、ふと、剣士役の子供が数人の魔法師役に囲まれて、転んで泣いた。
ガウィンは歯噛みする。
すると、次の瞬間、子供は立ち上がり、涙を拭い、また魔法師役へと向かっていったのが見えた。
あの子供は何を思って、剣士役をやっているのだろうか?
何を信じて立ち上がるのだろうか?
ガウィンはいつしかそんな疑問に取り憑かれて、ジッと子供を見つめていた。
新しい時代。
剣が廃れていくことは、もう間違いがない。
それでもきっと、そこには新たなる剣の意味が生まれてくるはずだ。
それが何かは、今のガウィンにはわからなかった。
けれど、きっと、
ガウィンやクロムの目指したものは、憎しみにまかせた王の暗殺などではなく、そういうものだったのだと……。
ああ、
あの剣士役の子供が、ガウィンにはとても強く見える。
(了)
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