高速道路の地下道に秘められた、ある噂とは…?

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この地下道を管理している道路管理局は、表面的に平静を装ってはいましたが、担当責任者たちの間では大問題となったそうです。そこで警官によるパトロールの強化を更に進めると共に、どこからともなく「そちら系」の専門家が見えて、地下道に巣食ったものを追い出す手段が取られました。 ところが、それはうまく行かなかった様子で、その後も何人かの方が見えて処置を施したにも関わらず、地下道での事故や事件は絶える事がありませんでした。 そんなある日の事です。 地味なスーツ姿の中年男性がふらりと現れて、例の地下道に入り込むなり、 「これはいかんな」と呟いて、そそくさと引き揚げて行きました。 次の日、その男性は何枚もの紙束とペンキを片手に地下道に現れて、くだんの絵を描き始めたそうです。彼の持っていた紙束はコピー用紙で、そこにはあの小学校の児童たちの書いた絵がコピーされていました。男はその絵をそっくりそのまま、地下道の壁面に書き写していたのです。 次の日も。またその次の日も。男は地道な作業を繰り返しながら、とうとう地下道の壁面全体に、あの無数の絵を描き上げたそうなのです。
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