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(フーガ視点)
「じゃ、今日はデートなんで」
ロビーのソファでチョコレートをわけ、次のライブまでのスケジュールを確認するとすぐに、タクトが立ち上がる。
あわせたように、ショウとブライアンも立ち上がった。
「えー。
一緒に夕食食べようよー」
木曜日の練習後は、五人で夕食を食べに行くのがお約束になっているのだ。
ヒラリが膨れるが、三人ともそれに付き合うつもりはないようだ。
「ごめんね、ヒラリ。トーコから、バレンタインだから一緒にデートしようって言われてるんだ」
ブライアンが笑顔で言う。
「フーガが付き合ってくれるんじゃない?」
ショウもそういうと、三人は足並みを揃えるようにライブスタジオを後にした。
「フーガも行っていーよ。
お疲れ様」
俺が口を開く前に、明後日の方向に視線を向けたままヒラリが言う。
「俺は別に、先約なんてない。
いつものように、一緒に何か食べに行こう」
そういっても、ヒラリはむくれたままだ。
「今日のチョコレートのお礼に、おごるよ」
「ほんと? 私、食べたかったものがあるのっ」
にこっと笑って立ち上がる、彼女の現金さにホッとした。
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