第1章

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廊下を歩きながら今日の業務の計画をたてているとあっという間に生徒会室の前まで到着していた。 鞄から生徒会室の鍵を取り出し開けようとしたところ既に鍵が開いているようだった。 (……?私よりも早くに誰かきているのか?) 不思議に思いながら扉を開けると昨日から私を悩ませていた張本人である会長が椅子に座り業務を行っているではないか。 「会長?おはようございます。どうしたんですか?こんな朝早くに。珍しい……」 「おはよう、澪。一晩寝て頭を整理してきた。そして思いついた。とりあえずたまっている俺が処理するべき書類たちを片付けようと……」 「…………もしもし、医務室ですか?志藤生徒会長様の頭がおかしいようなのですが「おいっ!」……冗談です」 昨日に引き続き会長らしからぬ発言が出たため医務室行きかと思ったのだが本人にとめられてしまったので仕方ない。 「……で?どんな心境の変化ですか?」 「いや……実は……その……」 「……?」 「……」 「…………はあ」 私はモゴモゴ独り言を言っている会長を放っておいて隣に併設されている部屋の簡易キッチンへ向かった。 そこで会長用のコーヒーと私用の紅茶を入れると生徒会室へ戻り、会長の机へそっとコーヒーを置いた。 そして会長の手元から処理途中だった書類を取り上げると近くの棚へ一時的に移し、その後で私専用の机へとついた。 「聞きますから話してください。昨日から一体何を考えているんですか?」 その一連の作業を見ていた会長は何事だというような顔をして私を見ていたが、私の発言を聞いて更に驚いたような顔をしている。 「……業務はいいのか?昨日はあんなに言ってたのに……」 「これ以上悩まれて業務が進まない方が困ります。私でよろしければ話ぐらい聞きますよ。ただし、アドバイスは期待しないでくださいね」 「……ふっ。ありがとな」 「べ、別に会長のためではありません!生徒会業務のためです!」 そう言っても会長は俯いてクスクスと笑ったままだった。そろそろ笑い終わってくれないだろうかとイライラし始めた時にようやく顔を上げた会長は真面目に切り出した。
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