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どのくらいそうしていたのかは分からないが、気づいたら俺の涙は止まっていた。男の子は俺の涙が止まったことに気づきもう一度ニコッと笑って手を離した。なんでかは分からないがその手を離してはほしくなかった。
「おやまできたね!かわもできた!おにいちゃんがいっしょにつくってくれたからいつもよりはやくできちゃった!」
「殆ど作ったのはお前だけどな……」
「おまえじゃないよ!もとむらつかさ!まきのようちえんのねんちょうさんだよ!おにいちゃんは?」
「俺は……」
「つかさ、迎えに来たわよ」
俺が名前を言おうとした時、後ろから女性の声が聞こえた。とても綺麗な人で男の子……つかさにそっくりの女性だった。
つかさはその人を認識すると「ママ!」と言って駆け寄っていった。『ママ』と呼ばれた人はつかさの顔を見てカバンからハンカチを取り出してその泥だらけの顔を拭きだした。
「今日もいっぱい遊んだのね」
「うん!きょうはおにいちゃんといっしょだったからおやまがすぐにできたんだよ!」
「そうなの。つかさと遊んでくれてありがとう」
「いえ……俺の方こそ遊べて楽しかったです」
見ず知らずの俺にも笑顔を向けてお礼を言うその人はとても優しい表情をしており、これが母親なのかと俺は漠然と思っていた。
「そろそろ暗くなるからあなたも早くお家に帰りなさいね。今日は本当にありがとう。つかさもお兄ちゃんにバイバイして」
「おにいちゃん、あそんでくれてありがとう!またね!」
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