第2章

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新入生オリエンテーションまであと一週間となったこの日、講堂に集められた生徒たちに初めてオリエンテーションの内容が発表された。 今年のオリエンテーションは遊園地を貸し切りにして予め分けた班で宝探しをするというものだ。新入生(一年生)と上級生の交流を目的とするため、各学年から二人ずつ集まり1グループ六人の班にする予定だ。 生徒会並びに風紀委員は運営の業務があるため企画には参加できないことを伝えると生徒たちが見るからに肩を落としたのがわかった。 「二人一組は各クラスで担任の先生の支持の元で決めてください。それを生徒会で能力に差がないように振り分けて班を作っていきます。班分けは前日に掲示板へ貼り出しますので必ず確認して下さい。その他、企画の詳細等は、このあとクラスで配られるプリントを見て下さい。それでは集会を終わりにします。各自クラスへ戻って下さい」 粗方の説明を終え舞台袖へ捌けると、生徒会メンバーより「お疲れ様」と声をかけられた。生徒会に入った当初ほどではないが、未だに人前で話すのは緊張する。 それでも生徒たちが新入生オリエンテーションを楽しみに思ってくれたようで良かった。生徒会と風紀委員で練りに練って危険が及ばないように配慮しながら考えた企画なだけに、生徒たちの反応が悪いと考えたかいがないのだ。 「にしても遊園地の貸切なんて良くできましたね。ここって結構有名なところですよね?それを平日と言えど貸切にするなんて……さすが志藤グループというところですか?」 「嫌味か!たまたま親父がそこの支配人と知り合いで、俺も世話になった人だったからな……断られるかもと思ったが承諾してもらえて良かったよ」 この会長は本当に顔が広い。去年の新入生オリエンテーションも会長のお陰で場所が確保できたようなものだし、そう考えると改めて志藤グループの名は伊達ではないと思ってしまう。 「僕、この遊園地行ってみたかったんだ~!会長ありがとう!」 「私たちは遊びに行くのではないんですよ?生徒たちに危険が及ばないように見回りをしなくてはいけません」 「でも交代制でしょ?休憩時間もあるからその時間に目一杯、遊ぶんだ!」 華園は西崎と空閑先輩を誘って一緒に回るつもりらしい。華園と西崎だけでは心配なところもあったけど空閑先輩がいるなら安心できる。
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