第2章

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「そういうお前は楽しみじゃないのか?」 「と言われましても、遊園地自体初めてですし、運営目的で行く予定だったので何を楽しみにすればいいのやら……」 私がそう言うと全員が信じられないものを見たかのような目線を向けてきた。 その中で口火を切ったのは会長だった。 「おい、澪。遊園地に行ったことがないって本当か?」 「ええ。行ったことないですね。家がまあまあ厳しいのでそういった娯楽施設に行ったことが殆どないんです。私自身も特に行きたいと思ったことがなかったので気にしなかったんですけど、そんなに変ですか?」 「変っていうか……みっちゃんがそういうとこではしゃいでるイメージはなかったけどそこまでとは思わなかったよ。それに去年も確か体調崩して行けなかったよね?」 「そういえばそうでしたね。去年は準備だけして当日は皆さんに任せっきりでしたね。まぁ、今回も運営業務が主なのであまり遊べませんけど初めてなりに楽しんでみますよ。……さて、そろそろ生徒会室に戻りましょう」 会話を無理矢理終わらせて殆ど生徒の居なくなった講堂を後にした。 私はちゃんとできていただろうか?気づかれることはなかっただろうか?顔に出ていなかっただろうか? ……嘘だ。家自体がそうなんて、行きたいと思ったことがないなんて…… 本当はすごく行きたかった。父母や兄二人は何かの記念日やご褒美に娯楽施設に出掛けていくことがあったが私はなかった。 行かなかったのではなく、一緒に連れて行ってもらえなかった。いつも私は一人で家族が出掛けている間も家で勉強の日々だった。 私はできが悪いから……兄さんたちの足を引っ張っている私が遊んでいる暇なんてないと言われてきた。 去年もそうだ。表向きには体調を崩したことになっているけど、前日になって父さんからオリエンテーションには参加しないように言われてしまい、従わざるを得なかった。 だから今年は……今年こそは『遊園地』に行ってみたい。生徒会は遊びに行くわけではないけどそれでも初めて行けるのだ。楽しみじゃないわけがない。
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