第2章

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「まぁ、生徒会は運営が主だから思いっきり遊べるとは言えないがそれなりには見て回れるだろう。当日までに気になるところをいくつか決めておけよ」 「なぜ会長にそんなことを言われなくてはいけないんでしょう?」 「なぜってお前……俺とお前がペアだからだ。運営業務も休憩時間も一緒なんだよ。遊園地が初めての奴を初めての場所で一人にする訳にいかないだろう。仕方ないから一緒に行動してやる。感謝しろよ」 確かに計画上、私は会長とペアで業務を行い、休憩時間も一緒だが別に休憩時間まで一緒に行動しなくてはいけないという決まりはない。 しかし、遊園地が初めての私には会長の提案は有難かった。有難かったが…… 「不思議ですね……感謝の念が一切、湧いてこないです」 「お前……」 なんて会話をしながら生徒会室までの廊下を歩いて行ったのだった。 生徒会室につくとそれぞれの席につき、割り振られた仕事をこなしていった。 オリエンテーションが近いといっても生徒会業務はそれだけではなく、今年度の予算案や理事長から頼まれている書類など多くのものがあり、過去のデータを参考にして作成していかなければいけなかったり、提出期限が近いものもあるので休まる暇はないのだ。 「ねぇねぇ、みっちゃん。ここの資料が欲しいんだけど、どこにあるかな?」 「これなら職員室で保管されてるはずですよ?取りに行ってきましょうか?」 「ううん!大丈夫。僕が行ってくるね!ありがとう!」 華園は元気な返事をして生徒会室を飛び出していったが、転ばないか心配だ。ああ見えておっちょこちょいのところがあるので、何も無いところで転んでいるのをよくみる。 やっぱり心配になり、私も行こうかと立ち上がったところで空閑先輩が「俺が行ってくる」と言ってくれたので任せることにした。
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