第4章

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お土産コーナーから出るとまだ皆、買い物が終わっていないのか私が一番最初だった。 近くにあったベンチに腰掛け皆が出てくるのを待ちながら空を見上げると日が落ちて来る時間になったのか綺麗な夕焼けが広がっていた。 今日は初めてのことだらけでずっと心が落ち着かなかった。友人たちと出掛けるというのがこんなにも楽しくて心躍るものだとは知らなかったから…… 今日が終わってほしくないなんて思う日が来るなんて少し前の私からしたら信じられない。 (疲れたけど嫌な疲れじゃない……) お土産を選ぶのに時間がかかっているのかまだ誰も出てこない。 (少しだけ……皆が出てくるまで……) 夕暮れの暖かさと心地よい疲労感に瞼がゆっくり閉じていく。 「澪?」 「……は、い」 「こんなことで寝るな。もう少しでみんな来るから頑張れ」 「……ん……う……ん」 「はぁ……」 私の隣に誰かが座った気がしたがその誰かを確認する前に瞼が完全に閉じた。 「「か、かわいい!!」」 「こらこら、隠し撮りはやめないか」 「たく……澪!いい加減起きろ!」 さっきまで静かだった周りが急に騒がしくなった。まだ眠たい目を頑張って開くと全員が私に注目していた。 「……あれ?皆さんいつの間に?」 「ついさっきです。僕が出てきた時には平良先生に寄りかかって寝てましたよ」 「寄りかかっ……っ!!も、申し訳ございません!重くなかったですか?」 「お前ぐらい重くねぇよ」 西崎の言葉に今の状況を客観的に見ると私の隣に座っていた霧さんに思いっきり寄りかかって間抜けに寝こけていたと……
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