第4章

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ダメだ……最近、霧さんに迷惑をかけすぎではないだろうか? 昨日もだけど、今朝だって無理やり自分のベッドに引きずり込んでいたようなものだし、水族館でも助けてもらっている。極めつけが今の状況。 「不甲斐ないです……」 「たまにはいいんじゃないか?お前は今までが気を張りすぎてたんだし」 「会長……」 会長の言う通り、以前の私なら人前でこんなに無防備で寝ることなんて絶対になかったし、昼間のように声を上げて笑うなんてこともなかった。つまり、少しずつでも変われているということだろうか…… 「さて、澪も起きた事だしそろそろ帰るか」 「もうそんな時間かー!なんか1日終わるの早いね」 華園の言う通り、今日は時間が経つのが早く感じた。こんなに楽しい1日は初めてで終わってほしくないと思ってしまう。 「そんな顔するな。また遊びに行けばいいことだろう?」 「会長の言う通りだな。次は文化祭の打ち上げかな」 「また来れるのですか?」 「逆に来ないのか?」 「いえ…………行きたいです」 「じゃあ、約束だね」 「「うん!約束!」」 「約束しましょう」 「ふっ、約束な」 「約束……はい。約束です」 『約束』 約束ができた。約束ってこんなに温かいものなんだ。 初めての約束は少し照れくさくて嬉しくて、泣きそうになった。 また次がある。こんなに楽しいことがまた起こると『約束』してくれた。 大切にしたい。この時間をこの場所をこの人たちを…… 思い出としていつまでも色褪せず見返せるように。 「ありがとうございます」 小さく呟いた言葉は楽しそうに話している皆には聞こえなかったかもしれないけど隣にいるこの人には聞こえたかもしれない。 「……」 「ふふ、内緒……です」 「……ああ」
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