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「空閑先輩も苦労するよな。相手があの華園じゃあなぁ……」
「確かに……ああ見えて鈍感ときますからね」
空閑先輩が生徒会室から出ていったのを見送ると会長と西崎が分かり合っているように話し出したが私には何が何だか分からなかった。
「あの……何の話です?空閑先輩と華園がどうしたんですか?」
私が聞くと二人は信じられないものを見たみたいな顔を向けてきた。
「まさか気づいてないのか?あんなにわかりやすいのに……」
「副会長も意外と鈍い……」
「こいつを好きになるやつは大変だな」
「……?だから何の話です?」
私だけが分かっていない状況が嫌で聞いてみたら何故か鈍いやらなんやら言われてしまったが、自分ではそこまで鈍いとは思っていないし、西崎はともかく会長にまで言われるとさすがに怒りがわいてきた。
「何かわかりませんが口を動かす暇があるなら手を動かしてください。特に会長は仕事に取り掛かるまでが長いんですから動かせる時に動かしてください」
「……こんなに可愛げ無いやつを好きになるやついるのか?」
「そこが副会長の魅力ですよ」
「仕事を倍にされたいなら素直にそう言ってください……」
少し威圧を込めて言うと二人は書類に目を向け黙々と取り掛かり出した。そんな二人の様子をしばらく見張ったあと私も仕事の続きに取り掛かった。
その後、戻ってきた空閑先輩と華園も交えて予定していた業務を終わらせようとそれぞれで業務に取り組んでいく。
業務を進めながら先程の会長と西崎が話していたことについて詳しく聞くことを忘れていたのを思い出した。しかし、空閑先輩と華園に関わることだし何故か今のタイミングで聞くのは違うと思い、結局、真意は掴めずに心の中のモヤモヤとして少し残る感じになってしまったのだった。
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