第2章

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「……今、なんと仰いましたか?」 嫌な予感を抑えて、訪れた父の書斎で待っていたのは衝撃的な発言をした父だった。 「はぁ……聞こえなかったのか?明日の視察に行く予定だった新が急な会議で行けなくなったから代わりにお前が行けと言ったんだ。新の代わりにはなれないだろうがいないよりはマシだろう……」 なぜ……今……それに明日は…… 「……あ、明日は……学園でイベントがあり……生徒会としての業務もあります。私が抜けては影響が出るかも知れません……」 「私はお前に意見を求めたか?行けと言ってるんだ。大人しく従え。」 「ですが……!」 反論しようとした私を止めたのは机を思いっきり叩いた父だった。 「いい加減にしろ!私はお前と話している時間はないんだ!だいたい学園に通わせてもらっている身のくせに何だその態度は!?私が言った事は絶対だ。分かったらさっさと出ていけ」 まるで取り合う暇など無いかのように話を切り上げた父さんにそれ以上の反論はできなかった。 いつもの事……いつもの事だ。何ら不思議ではない。前日に言われることなどよくある事。次の日がテストだろうが、なんだろうが関係なかった……だからいつもの事で片付ければいいのに…… それだけの事なのに…… 「会長に連絡しないと……」 部屋へ戻るのが嫌だった。今あったことが嘘だと思いたかった。部屋の机の上にはさっきまで見ていた明日の資料が開いたままになっている。 それを見たら今、溢れないように止めているものが出てきてしまいそうで…… でもいつまでもここにいるわけにはいかない。それに早めに連絡しないと迷惑をかけることになってしまう……それだけは嫌だった。 いつもより長い時間をかけて部屋に戻り鞄に入れたままだった携帯を取りだし、会長へと電話をかけた。
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