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『もしもし。澪か?何だ』
まだ夜と言うには早い時間だったためか、会長は起きていてくれた。
「突然のお電話すみません。実は、明日のオリエンテーションに参加できなくなってしまいまして……明日は私抜きになりますのでその点をご了承頂ければと思います」
『……なに?どういうことだ?前日だぞ?』
会長の声のトーンが下がったのが分かった。怒るのも当然だ……前日に、しかも運営業務を担当する生徒会のメンバーが抜けるのだ。一生徒とはわけが違う。
それでも納得してもらわないといけないので引くことはできなかった。
「お怒りはもっともなのですが、家の事情なので私にはどうもできません。お叱りは後日、ちゃんと受けます。それでも私がいなくても会長を始め、優秀な役員しかいませんから大丈夫だと思いますので。明日も混乱がないようにこうやって打ち合わせも兼ねて連絡を『そうじゃない』……はい?」
何がそうじゃないのだろう?それ以外に会長が怒ったポイントが全く分からなかった。
『俺が言いたいのは、お前はそれでいいのかということだ。』
「どういうことですか?」
『はぁ……お前が鈍いことを忘れていた。要するに、お前はあんなに楽しみにしていたのに行けなくなっていいのか?ということだ』
会長から掛けられたのは想像していなかった言葉だった……
だって私は一度も楽しみだと言っていない。表情にも出ないようにしていたのに、なんで会長が知っている……
「なんで……」
『なんでってお前、あれで隠せてると思っている方が不思議だぞ。オリエンテーションの話題になった途端、声のトーンは上がるし、笑わないようにしてるんだけど口角がいつもより上がってる……生徒会役員だけだろうけど恐らく他のやつも気づいてるぞ?』
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