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言葉が出なかった……何か返事をしないといけないのに、どうしても声が出ない。
気づかれているとは思っていなかった。自分では完璧に隠せていると思っていたのに……しかも、会長だけでなく他の役員まで気づいているという……
「あ……えっと……そうですね。遊園地自体が初めてだったので興味はありましたからそういった点では楽しみでしたよ。でも生徒会は運営業務で行くんですから浮かれてばかりではいけないと思って気を引き締めていただけであって……別に、そこまででは『澪……』そうです!私よりも華園の方が楽しそうじゃないですか!空閑先輩も意外と楽しみにしていそうですし、西崎だって……」
何を言ってるんだろう。もはや自分が何を言ってるのか分からなくなってきた。一生懸命に止めていたものが出てきそうになってるが必死に抑え、言い訳を並べていく。
悟られてはいけない……こんな気持ちを悟られてはいけないんだ。
何だかんだ言っても会長は周りをよく見て気を利かせてくれる。きっとこの気持ちが知られてしまえば会長は助けてくれようとする。
それだけは嫌だった。こんな自分を……家のことを知られたくなかった。
だから精一杯、誤魔化していく。気づかれないように知られないように……お願いだからこれ以上は何も言わないで……
『……わかった。お前が踏み込んでほしくないなら何も言わない。明日のことは心配するな。何とかするから……それじゃ、また学園で……』
「はい、それでは……」
会長と電話を終えると私はベッドに倒れ込んだ。まさかここまで体力を使うことになるとは思わなかった。
あそこで引いてくれたのは助かった。
そうしないと今、抑えきれずに溢れてしまっているものに気づかれてしまうから。
「……大丈夫……私はまだ大丈夫。今回はたまたま、遊園地というものに惹かれてしまっただけ……行かなければ何も無かったことにできる。いつものように過ごせる。だからきっとこの流れているものも今だけ……今だけだから……明日からはいつもの私で……」
布団に入って眠れば全ては長い夢になるから……できるから……
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