第2章

11/91
前へ
/256ページ
次へ
~会長(大輝)side~ 『はい、それでは……』 澪と電話をする前に読んでいたものをそっと閉じた。そして今しがた電話をしていた携帯を再度開き、他の役員に澪が来れないことを連絡していく。 空閑先輩と西崎は心配そうな雰囲気は出していたけれど結局は仕方ないと納得してくれたが、大変なのは華園だった。 なんで、どうしての質問攻め。華園の気持ちもわからなくない。澪にも言ったがあいつが楽しみにしているのなんて見てれば一目瞭然だったしそれは皆、気がついていた。だからこそ華園は納得できなかったのだろう。最終的には無理矢理の理由をつけて納得させはしたが…… 澪の家が厳しいのは気づいていた。確かに学園に通っている生徒には家業を手伝っている者もいる。俺だって将来、会社を継ぐために休みの日などに父の仕事を手伝うこともある。 それでも澪の家は特殊すぎた。平日でもお構い無しかのように手伝わせているし、今回のように前日に休むなんてざらにあった。 以前聞いた話だと兄が2人いると言っていたので直接、澪が家を継ぐことはないのだろうがそれならどうしてそこまでさせるのかわからなかった。 よく考えればあいつから家の話を聞いたことが無かった。生徒会でそういった話になっても意図的にその話題を避けているように思う。 それが分かれば電話越しで泣いていた理由もわかるのかもしれないが、聞いても教えてはくれないだろう。 (あいつが来ないならコレも無駄になったな……) 俺はさっき閉じたペンでチェックを入れていた遊園地のパンフレットを手に取り、少し考えてからそれをゴミ箱に捨てた。 そして、ある人の力を借りようと思い部屋を後にした。
/256ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1083人が本棚に入れています
本棚に追加