第2章

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「親父は俺が生徒会に入ってるの知ってるだろう?副会長やってるのが伽々里のやつなんだけど……なんというかちょっと気になるというか、あまり自分のことを話さないんだよ」 「そうか……あの噂は本当か……」 「噂って?」 父は少し言いにくそうにしていたが俺が真面目に聞いているのを察して答えてくれた。 「伽々里家のご子息で表舞台で認識されてるのは長男の伽々里慧と次男の伽々里新。主にこの二人なんだが耳にする話では実は三男もいて、視察などにはその三男も同行しているらしい。でも確証がない話だし本当に表舞台には立たない存在だからデマではないかとも言われてたんだ。それほどまでに秘蔵っ子なのか或いは隠し通したい存在なのかは分からないけどな」 澪が隠し通したい存在…… それほどまでに公には出したくないのは何か理由があるんだろうか…… 学園内だけの付き合いではあるがあいつが良い奴なのは知ってるし、仕事だって進んでやってくれる。 俺からしたらすぐ嫌味を言う点を除けば文句の付けようがないと思うが…… 「大輝。お前が優しい子なのは知ってるし何かしてやりたいという気持ちになるのもわかるが、他の家の問題に軽い気持ちで首を突っ込むなよ。それでその子に被害が出ては意味がない。やるなら徹底的にバレないようにやりなさい」 「っ!……ふっ、わかってる」 「もし手伝えることがあるなら言ってくれ。尻拭いでも隠蔽でも何でもしてやる」 「ありがと、親父」 その後もいくつか伽々里のことについて教えてもらい、明日も早いからと親父の部屋を後にした。 あいつが、澪が家でどんな存在なのかはまだはっきりと分からないが親父から話を聞けて何となく予想はできた。 恐らくだがあまり良いようには扱われていないのだろう。そう考えればあいつの行動にも納得がいく。朝早く来ているのも、遅くまで残るのも、家の話をしないのも、さっきの電話口の声も。 何か俺にできることはあるのだろうか……
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