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「ところで転校生?一学年に?入学式は一週間前だぞ?」
私の渡した書類を見ながら会長は疑問を投げかけてきたが私も先程、理事長に聞いて知ったのだから気持ちは一緒だ。
「その疑問はわかります。理事長曰くその生徒は入学したのはもともと別の学校で親の急な都合により転校せざるを得なかったので転校生という括りらしいです」
「なんかややこしいな」
「転校生の事情はともかくその出迎えをするのは会長ですからね」
私のその一言で会長はさらに驚いた顔をしてきたが前々から言っておいたことなんだけど、この会長が覚えているわけないか……
「そんな顔をしてますが以前に明日は家の予定があるので学校に来るのは遅れると言ってありますよ?なんなら理事長にも確認しますか?」
「いや……思い出した……それ明日か」
「はい。お昼前には来れると思いますので」
「わかった。それにしても澪はいつも大変だな。学校に来て尚且つ家の仕事の手伝いまでだなんて」
会長は感心した顔で言ってくるがそんなに偉い事でもない。私は学校に来たいのに……あんな家……
「……澪?どうした?」
「あっ……いえ、なんでもないです。すみません。とにかく明日はよろしくお願いします」
会長にそういうと私は残りの業務を片付けるため自分の席に座った。
(いけない。こんな事を知られる訳には行かない……大丈夫。大丈夫……私はまだ大丈夫……)
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