第2章

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アトラクションに乗っている姿、カフェで食事をしている姿、お土産コーナーでにらめっこをしている姿。 どれも想像できなさすぎて笑ってしまった。 きっと自分には不釣り合いの場所だったのだ。そう思えば今感じているこの気持ちも楽になるような気がした。 「帰ろう……」 ずっとここでこうしているわけにもいかずベンチから立ち上がり歩き出した。 「やっと来たのか」 歩き出した……足を止めて振り返るとそこに居たのは会長だった。 「ナ、ナニヤッテルンデスカ……?」 あまりの出来事に状況が飲み込めずカタコトになってしまった。そこにはオリエンテーションが終わって、とっくに帰っていたであろう会長が立っていた。 「えっ?本当に何やってるんですか?もしかして学園に戻るバスに置いていかれました?」 「お前は……そんなわけあるか。学園にはバスで戻ったし、オリエンテーションもちゃんと締めた。その後で別件があって戻ってきたんだ。何でもかんでも変な方向に持っていくな」 「はぁ……」 と言われても未だに頭がついていかないので気の抜けた返事しかできなかった。それにしても別件とはなんだろうか? もしかして今回のオリエンテーションを行う上で何か起きたのだろうか……そうだとしたら運営業務を担っていた生徒会役員である私も無関係ではない。 「何かありましたか?学園側が何か粗相を……?」 「いや、学園は関係ない。用件は個人的なものだからな」 会長が言った言葉にホッとした。何か問題があったとしたらそれは学園の名前に泥を塗るところだったのだ。それは生徒会役員として避けなければいけない事態だ。 そうなると逆に気になるのは会長の個人的用件というところだった。
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