第1章

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私の家は主に医療関係の分野においてトップの実績を誇っており薬の研究や医療器具の開発に始まり病院、医療学校の経営まで全てを担っており医療の裏に伽々里家有りとまで言われるぐらいだ。 その技術は日本だけでなく世界からも注目されており、数多くの腕のたつ医者を輩出しているのも有名な話だ。 確かにその実績に置いては素晴らしいこと、寧ろ尊敬すらしているし、実際に会ったことがある医師の方々は本当に誠意的な方ばかりで勉強になる事も沢山ある。 しかし、そんな家なのにどうしても私は好きにはなれない。 いや、もっと私が普通だったらあんなことも無く、この家を伽々里という名前を好きになれていたのだろうか…… 「なんてこんなくだらない事を考えても意味ないことなんだけど」 朝起きて身支度をしながら今日の事を考えていると憂鬱な気分になっている自分に喝を入れる。 いけない。こんな答えのない問題を考え続けても無駄なことなのに…… 「澪様、おはようございます。朝食の用意が出来ております。」 「分かりました。直ぐに向かいます」 私が頭を切り替えていると扉の向こうから家の使用人が声をかけてきた。 きっと今日は一緒なのだろうと思うと食欲が全く無くなったが、行かない訳にも行かない。 スーツの上着と通学用カバン、それから制服の入った少し大きめのカバンを手に持ち部屋を出ると見慣れた使用人が扉の前で待っていた。 使用人は荷物を持ちますと言ってきたがそれを断り、憂鬱な気分のまま食堂へと足を向けたのだった。
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