第1章

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「おはようございます」 食堂に入るとそこにいたのは伽々里グループの社長である私の父と母、そして二人の兄だった。 四人は私の挨拶など聞こえていないのか或いは聞こえない振りをしているのかは知らないが楽しく話しながら食事を進めていた。 父さんと母さんはともかく兄さんふたりがいるのは珍しいと思いながら私が席につくと使用人たちが私の前に料理を並べてくれた。 「いただきます」 この言葉を一人で言ったのはどれくらいだろうか 「いただきます」も「ごちそうさま」も「おはようございます」も「おやすみなさい」も……いったいいくつの言葉を返ってこないと知りながら音にしただろうか。 あの楽しそうに話している家族の中に私が入ることはきっとない……
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