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おれは目を見開いた。店員は注文を復唱して、厨房へと向かった。
「いやー。仕事だったからお腹が空いて」
沢田はへへっと笑った。
「…いや、人の好みに対して何も言うつもりはないけど…」
「それは有り難い。前に上司と一緒に昼に行って、大盛で頼んだら『だからお前はブタみたいに太っているんだ』って言われたよ」
沢田は自虐しながら、声をあげて笑った。
おれは口をぎゅっと締めて、見ているしかなかった。
「お待たせしました」
いつの間にか店員がやって来て、それぞれに注文の料理を置いた。
沢田の前にトンカツ。
おれは海鮮丼に器に入った醤油をかけながら、沢田のトンカツを食べる姿を見た。
カリっと音を立て、衣を噛みしめる音。人のようにうまそうに食べるブタの口。
ブタの顔で豚肉を食べる目の前の友人の姿。
「…山田。醤油は全部入れ切ったみたいだぞ」
はっと手元を見た。おれは器を置き、沢田を見ないように食べ始めた。
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