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贈り物
あるところに、見てくれの悪い男がいた。背は低く、目と目は極端に離れ、鼻ぺちゃで、口は大きく、ガラガラの声。
けれど、見た目に反して、性格は大層よかった。誰にでも親切で、いつも笑顔。彼が人の悪口を言うことはなかった。
2月13日、居間のテーブルに白い包みがあった。「マサルへ」
母さんからだ。いつものようにバレンタインのチョコか。一日早いけど?
母さんしかチョコをくれる人はいないけど、ありがたくいただこう。
一口食べると、身長が伸びたような気がした。
パートから帰ってきた母に、「チョコ、ありがとう。」と言うと、
「え?私じゃないわよ。あらマサル、チョコもらえたのね。」と母は嬉しそうだった。
「え??」
「チョコを置いたのは、わ・た・し」
「誰?」
「この世の者じゃないわねぇ。でも幽霊じゃないわよ。」
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