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…気のせいか?
そう思いながらも校舎に戻ると、俺は隣のクラスを覗いた。
「あ。大毅だ。チョコあげる」
と、寄って来た女子に適当に愛想を振り撒くと志保を探した。
時計を見ると、あと数分で予鈴が鳴るのというのに席にその姿はない。
「なあ。志保は?」
「知らない」
猫撫声から、突然冷めた声を出す姿に女子の怖さを垣間見る。
こういう特定の人間に器用に媚びを売れるようなタイプとは、特に上手くやれていないだろう…。益々、志保が心配になってきた俺は教室の隅々まで見渡して、廊下で待機しようと考えた。しかしある場所で視線が止まる。
…教室の後ろにある扉付きのロッカー。
「なあ。志保のロッカーって何処にある?」
「…え?」
何故か、一瞬顔を引きつらせた女子はすぐに笑顔を造ると「知らない」と、答えた。
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