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しょうがなく自分で探していると、一ヶ所だけ赤い小さな南京錠が付いた扉が目に入る。
“__大切な人”
まさか。と、思いながらもポケットから取り出した鍵を差し込むと、すんなりと鍵穴に入る。そして右に回すと、カチッという音を立てながら簡単に鍵が開いた。
…どうして。何で。
浮かぶのは疑問ばかりだが、今は考えている暇はない。
とりあえず扉を開けてロッカーを見てみると、何故か中に入っている教科書の表紙が破りとられていた。
不思議に思いながら手に取った俺は、教科書のページを捲り目を見開く。
「…何だよこれ」
「うわ。何それー」
振り返ると、さっきの女子が後で薄ら笑いを浮かべていた。
「お前がやったのか?」
「何で私が?そんなの知らなーい」
そう笑うと周りにいた女子達もクスクスと笑い出す。
「と、いうより。本当のことなんだからしょうがないでしょ」
「…え?」
「ノロマ。ドジ。ウザイ」
教科書の文字が埋め尽くされる程に、油性のマジックで書かれている文字を大きな声で読み上げる。
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