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俺は手当たり次第に、思い当たる場所を探した。 学校の屋上。保健室。 校内を諦めると裏門から抜け出して駅前。そして家の近くの公園。 しかし志保は何処にもいない。 “__大切な人” 俺にはそう思う権利がない。 だって虐めにも気づかず守ることすらできなかった。 それに志保が今何処にいるのかも見当がつかない。 …志保。 目を閉じると、まだ俺に向かって無邪気に笑っていた頃の姿が瞼の裏に浮かぶ。 麦わら帽子を被ってバシャバシャと水飛沫を立てて……。 __その瞬間。俺の脳裏には“ある場所”が浮かんだ。 来た道を引き返して、裏道を全力で走る。暫くすると河川敷が見えてきた。 幼い頃。夏になると、よく志保に連れて行って欲しいとせがまれたことを思い出す。 …まさか。と、思いながらも土手を駆け上がり河川敷を見渡すと、すぐにその姿を見つけた。 「志保っ!」 名前を呼ぶと、遠くで振り返った志保が一重の瞳を見開いたのがわかる。 俺は慌てて履いていたスニーカーと靴下を脱ぎ捨てると、志保の元へと駆け寄った。
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