2

1/16
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ

2

「おはよ」 「…お、おはよ」 隣の家から出て来た幼馴染みの志保(しほ)は、俺が挨拶をしても目すら合わせない。かろうじて小さな声で答ると、逃げるように先に学校に行こうとする。 「寝癖ついてるぞ」 「え!?」 慌てて髪の毛を弄っているうちに、隣に並ぶと「嘘」と笑ってみたら睨まれた。そして、また先に行こうと足を一歩踏み出した瞬間、志保は小石につまづいて派手に転んだ。 「…っ」 「大丈夫かよ?全くドジだな…」 と、腕を掴んだ手は無言で振り払われる。 「…私に構わないで」 そしてパタパタと走り去る足音が、俺の胸の中で虚しく響いた。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!