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「おはよ」
「…お、おはよ」
隣の家から出て来た幼馴染みの志保は、俺が挨拶をしても目すら合わせない。かろうじて小さな声で答ると、逃げるように先に学校に行こうとする。
「寝癖ついてるぞ」
「え!?」
慌てて髪の毛を弄っているうちに、隣に並ぶと「嘘」と笑ってみたら睨まれた。そして、また先に行こうと足を一歩踏み出した瞬間、志保は小石につまづいて派手に転んだ。
「…っ」
「大丈夫かよ?全くドジだな…」
と、腕を掴んだ手は無言で振り払われる。
「…私に構わないで」
そしてパタパタと走り去る足音が、俺の胸の中で虚しく響いた。
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