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「…志保。待ってて」 __今日は70回目の記念日。 こうして一緒に迎えることができたのは、紛れもなく奇跡だ。 そしてこの奇跡は過去へと繋がる。いや、この手で過去へと繋げるんだ……。 その瞬間、手にしていた箱が光りだす。温かな光に包まれて一瞬目を閉じる。そして、次に目を開けた瞬間には過去の自分が目の前にいた。 空を見上げているまだ若い頃の自分。 一生にすれば、この瞬間なんてほんの一瞬にすぎない。だけどこの一瞬が確かに未来を築いていく。 「キミ」 「え?俺ですか?」 __過去の彼女はキミに託す。 「そうだよ。キミに渡してくれと、ある人から頼まれてね」 __未来の志保から過去の自分へ。 ……だから、頑張れ。 そう心の中で呟きながら、不思議そうな顔をしている幼い顔の自分にそっと微笑んだ。 おわり。
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